一話

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俺は伊織 紳(いおり しん)。 16歳の高校二年生だ。 成績、中の下くらい…かな…。 べ、勉強なんてできなくたって生きていけるさ!! うん、俺強く生きる! 顔…まぁアレだ。 人間顔じゃない、中身だと言っておきます。 ハイ。 3サイズは…って、んなの知るか! 測ったことねーし。 男がメジャー持って体に巻いて「やべ、ちょっと太ったかも」とか言ってたら怖いだろ。 今日も、いつもと同じように7時に起きて顔洗って、歯磨いて、ねぐせ直して…うん、今日の俺も輝いてるぜ! 「俺っちの運勢は~っと、みずがめ座みずがめ座~ お、1位だ。 なんかいいことある予感~♪」 俺は上機嫌でトーストを口に運び 「なんでトーストってこんなにおいしいんだろう…。 イースト菌を発見した人はすごいなぁ。」 すでにいいことがあった気分になっていた。 「っと、いい時間だな。 いってきま~す」 と足早に家を出た。 《次のニュースです。 最近話題の失踪事件ですが、今月に入り既に5件が確認されており、 警察ではなんらかの繋がりがあるのではないかとして捜査が進められております。》 ニュースの中での出来事なんてのはどっか遠い世界の話で、自分なんかは一生縁もゆかりもないことなんだと思ってた。 それが当たり前だった。
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