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学校までの道を立花と二人で歩く。
至福の一時。
「それでね~、すごいのよ!
見て、ココ!!」
何やらとても興奮した様子で、とても…それはもうとても楽しそうに俺に見せてきた。
「うげっ…。
だ~から、痛いって!
なんでそー毎回嬉々として見せてくるのかねぇ」
スプラッタな描写を見せられた俺は、少し泣きが入りながら言った。
彼女は、少し(?)グロちっくでスプラッタな描写がある小説を好んで読む。
趣味は人それぞれだから、いいんだけどさ・・・俺は苦手なのよ。
どうもブシャーとかドバーだかを連想してしまうと、ひざやらなにやらがキシキシと痛む。
そんな俺に対してどうも彼女は楽しさを禁じえないようなのだ。
「え~・・・ ぁ、そうだ!
CDありがと! いい曲だった!
伊織くんは、少しは読んでくれた?」
立花の言っている「CD」とは、俺の好きなアーティストのオススメの曲を適当に焼いて作った物のことだ。
「気に入ったんならCDやるよ。
…んで、小説は~…あ~…」
「読んでないの? 面白いよ~♪」
彼女が貸してくれた小説は、彼女にとってとても好みの対象になる物であり、
俺としてはあまり視界には入れたくないものだ。
夜中にトイレ行けなくなったらどーしてくれる!
「一応、途中まで読んだんだけど…」
「けど?」
「 『これから怖くなりますよ。どんどん痛くなりますよ。』
って空気が耐えられなくて、昨日は途中で寝ちまった」
思い出したら寒気がしてきたが
「え~…面白いのに」
と、唇を少しとがらせてぷーぷー言っているのを見ていると癒されてしまう。
「まぁ頑張って少しずつでも読むよ」
と言うと、ぱぁっと花が咲いたような笑顔を見せてくれる。
「うん! 全部読んだら感想聞かせてね!」
「任せろ。
読書感想文にして発表してやるよ」
朝の他愛もないやりとりだが、一日の活力が湧いてくる。
あぁ、好きだなぁ。
としみじみ思ってしまう。
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