一話

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学校までの道を立花と二人で歩く。 至福の一時。 「それでね~、すごいのよ! 見て、ココ!!」 何やらとても興奮した様子で、とても…それはもうとても楽しそうに俺に見せてきた。 「うげっ…。 だ~から、痛いって! なんでそー毎回嬉々として見せてくるのかねぇ」 スプラッタな描写を見せられた俺は、少し泣きが入りながら言った。 彼女は、少し(?)グロちっくでスプラッタな描写がある小説を好んで読む。 趣味は人それぞれだから、いいんだけどさ・・・俺は苦手なのよ。 どうもブシャーとかドバーだかを連想してしまうと、ひざやらなにやらがキシキシと痛む。 そんな俺に対してどうも彼女は楽しさを禁じえないようなのだ。 「え~・・・ ぁ、そうだ! CDありがと! いい曲だった! 伊織くんは、少しは読んでくれた?」 立花の言っている「CD」とは、俺の好きなアーティストのオススメの曲を適当に焼いて作った物のことだ。 「気に入ったんならCDやるよ。 …んで、小説は~…あ~…」 「読んでないの? 面白いよ~♪」 彼女が貸してくれた小説は、彼女にとってとても好みの対象になる物であり、 俺としてはあまり視界には入れたくないものだ。 夜中にトイレ行けなくなったらどーしてくれる! 「一応、途中まで読んだんだけど…」 「けど?」 「 『これから怖くなりますよ。どんどん痛くなりますよ。』 って空気が耐えられなくて、昨日は途中で寝ちまった」 思い出したら寒気がしてきたが 「え~…面白いのに」 と、唇を少しとがらせてぷーぷー言っているのを見ていると癒されてしまう。 「まぁ頑張って少しずつでも読むよ」 と言うと、ぱぁっと花が咲いたような笑顔を見せてくれる。 「うん! 全部読んだら感想聞かせてね!」 「任せろ。 読書感想文にして発表してやるよ」 朝の他愛もないやりとりだが、一日の活力が湧いてくる。 あぁ、好きだなぁ。 としみじみ思ってしまう。
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