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prologue:黒猫の憂鬱
世界には何も無い。
掴んだ物はいつか無くす。
手に入れた物はやがて失う。
最初は一時的な喪失感に縛られるとしても、いつかは薄れ、消えてしまう。
何故なら、手から離れてた物その全てが自分にとって大切な何かではなかったからだ。
ならば本当に大切な何かとはなんなのだろう。
衣服か?
金か?
物か?
食事か?
自分か?
他人か?
全てを手に入れたならば、何を望めばいい?
空白の掌を見つめた時、何を願えばいい?
きっと、俺だったらこう思うに違いない。
どいつもこいつも、クソくらえ。
世界なんて――大っ嫌いだ。
語り部 ひねくれ者
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