嘘つき

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 俺はただ手を伸ばした。しかしこの手は届かない。  それどころか、無情にもそれは遠ざかるよう離れていく。  違う。離れたのは俺だ。俺が立っている地面が溶解していたのだ。底無しの沼と化した大地が俺を飲み込み、沈めていく。  求めたものが空の彼方へと離れていく。俺の手から絶望的な距離へと消えていく。  足、腰、腹、胸と俺を飲み込んだ大地が頭部に達し、視界が暗黒に染まる。  光が潰え、更に深く沈む。  掴めなかった事への絶望が自己への憎悪へと変わり、鋭利な破片となって全身を巡り、傷つけ、喰い破る。  愛も、喜びも、哀しみも、絶望も、平凡な日々の繰り返しが全てをさらい、忘却の彼方へと運び、摩耗させていく。  淡々と、残酷なまでに。  1 嫌な夢をみた。 朝までの快晴はどこにいったのやら、昼頃から雲行きが怪しくなり曇天の空模様へ。そして現在放課後。雨。 昨日のことがあっても、いつも通りでいる自分に驚いた。
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