0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はただ手を伸ばした。しかしこの手は届かない。
それどころか、無情にもそれは遠ざかるよう離れていく。
違う。離れたのは俺だ。俺が立っている地面が溶解していたのだ。底無しの沼と化した大地が俺を飲み込み、沈めていく。
求めたものが空の彼方へと離れていく。俺の手から絶望的な距離へと消えていく。
足、腰、腹、胸と俺を飲み込んだ大地が頭部に達し、視界が暗黒に染まる。
光が潰え、更に深く沈む。
掴めなかった事への絶望が自己への憎悪へと変わり、鋭利な破片となって全身を巡り、傷つけ、喰い破る。
愛も、喜びも、哀しみも、絶望も、平凡な日々の繰り返しが全てをさらい、忘却の彼方へと運び、摩耗させていく。
淡々と、残酷なまでに。
1
嫌な夢をみた。
朝までの快晴はどこにいったのやら、昼頃から雲行きが怪しくなり曇天の空模様へ。そして現在放課後。雨。
昨日のことがあっても、いつも通りでいる自分に驚いた。
最初のコメントを投稿しよう!