会いたいんだよ、きみに

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彼女と出会ったときのことをふと思い出して あの時行った喫茶店に入った。 出会ったころはまだ二人とも大学生で サークルがどうだとか 同じゼミのやつがどうだとか そんなことで朝から晩までその店に入り浸っていた。 そしてだんだん、二人の時間がほしくなり 二人で同じ部屋に住んだ。 寝るときも ご飯を食べるときも テレビを見る時も 二人で過ごした。 いろんな出来事があった 流行りの歌は何曲もあって 特に好きだったのは付き合い始めによく聴いていた曲だった お気に入りの喫茶店ができて 何度も二人で足を運んだ ある冬の夜、 寒い寒いなんて言いながら 肌を寄せ合い布団にくるまって キャンドルの光だけに照らされて お互いの将来を語った。 その時に流れていたのも 付き合い始めによく聴いていた曲だった 彼女の胸元には、僕がクリスマスにプレゼントしたハートのネックレスが輝きを放ち揺れていた。 ひんやりとした彼女の指先がやさしく僕の頬に触れて 冷たい、なんて笑って両手で温めた。 すると彼女は小さく笑って 目を閉じた。 その顔が僕にはとても愛おしく思えて何度も何度も彼女の頬を撫で、そのまま眠りについた。 彼女からはふんわり花の香りがしていた。 いつも花屋でバイトをしていて花に囲まれていたからだろうか。 今でもその花屋の前を通ると、長い髪の毛をひとまとめにした彼女がせっせとバイトしているんじゃないかと思って、つい立ち止ってしまう。
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