162人が本棚に入れています
本棚に追加
外の世界は病室の窓から見る世界と全然違った。
真っ青な空に白い雲。
辺りに繁っている木々。
どれも僕には新鮮だった。
『すっご~い!!』
「クフフ…。」
『(くふふ?)』
病院の中の空気とも全然違ってすごくいい匂いがした。
あんな、薬品に満ちた匂いじゃなくて…
『出してくれてありがとう!!』
「いえいえ。」
笑顔で言うと笑顔で返してくれた。
僕の病気は分からない。
多分、昔よくされた注射のせいで、外に出たらすぐに病気になってしまったり
消毒をしていない他人に触られると他人が発病してしまうという面倒な病気なのだ。
名前なんて知らない。
『ねぇ、お兄さんはなんで僕を出してくれたの?』
「凪の笑顔が見たかっただけですよ。」
『そっかぁ……凪ちゃんは妹思いなお兄さんを持ったんだね。』
私がそう言えば、お兄さんは苦笑いした。
何故かは、分からない。
「樹奈、行きたい所はありますか?」
『んー……ない!お兄さんの好きな所連れてって!!』
私がはしゃぐとお兄さんはくすっと笑って歩く方向を変えた。
笑顔……綺麗だなぁ…
最初のコメントを投稿しよう!