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何でこんなことになったんだろう…。
私は分かって欲しくて、大好きで…
とにかく彼に甘えたかっただけなのに。
目の前で捨てられたシルバーリング。
吐き捨てられた冷たい言葉。
温かくて優しかったあの日々。
走って、走って、走った。
いつの間にか私の目の前は緋の海が広がっていた。
周りの景色にはそぐわない可愛い男の子が緋に包まれながら立っている。
『こんにちは、お姉ちゃん。』
綺麗だ、と思った。
まだ年端もいかないだろうその子はあどけない顔で微笑んだ。
それは神秘的で何故か心惹かれた。
『お姉ちゃん、僕と一緒だね。』
『分かって、欲しかったんだよね。』
『もう、大丈夫。僕が一緒だよ…』
その声を最後に私は意識を手放した。
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