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気付けば、 桜の花びらは全て散っていた。 その代わりに、 生命溢れる緑の葉がたくさんついている。 桜は満開の時もいいけど、 実はこの瞬間も嫌いなわけではなかったりする。
そして今、 私は桜の木の下である少年とお話しているのでした。
『織田信長って空飛べるのかな?』
「……うん。 まったくもって意味がわからないわ」
『何で?』
「……それすらわからないわ」
『サクラって、 たまにおかしな事言うよね』
「むしろ、 あんたが私に言わせてるって事に気づいて欲しいわ」
『あ、 バッタだ』
「……………………」
何なのかしら。 この会話。 地味に成り立ってるのが恐ろしいわ。
彼の名前は、 観月 守。 これといって特徴は無い。 市内の小学校に通う小学6年生。 とりあえず12歳。 もう12歳なんだから、 少しは大人らしくすればいいんだけど……見ての通り子供で、 少しはズレを生じてる男の子だ。 あいつの頭の中見てみたいわね。
わかってると思うけど、 サクラって言うのは、 私の事。 守が私に付けた名前よ。 本名はあるんだけど……今のところは秘密。 何故秘密にするのかって? ……なんとなくよ。
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