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快晴だった。
雲一つ見当たらず、かと言って直射日光で暑すぎるという事もない心地良すぎる春の一日。
そんな中、俺……
光崎 宇宙(ミツザキ ソラ)は学校の屋上で惰眠を貪っていた。
俺の事をソラではなく、まんま宇宙って呼んだ奴はとっとと失せろ……。
まったく、名付けられる子供の気も知らないで適当な名前付けやがって……。
俺の両親はどちらも元宇宙飛行士だった。
それこそN○SAの宇宙ステーションで働いていた事もあるし、何度かテレビで取り上げられる事もあった……らしい。
と言うのも、俺が物心付く前に両親はとある実験中の事故に巻き込まれて他界してしまったからだ。
だから俺と両親との間に残っている繋がりと言えばこの名前ぐらいなもんで、本来ならこの名前をもっと大切にしていかなければならないのだろうが……どうにも好きにはなれない。
何故なら初めての奴には大半名前を間違えられるし、顔見知りの奴らには必ずと言っていい程からかわられる。
酷い時はそれが原因でイジメの標的にされることすらあった。
「相手の精神が幼かったから」
そう割り切る事が出来たのならどれだけ楽だっただろうか。
しかし、俺にそんな芸当は到底出来るはずもなく一時は不登校にさえなった。
そんな精神を擦り減らす日々にもう我慢出来なくなってしまっていたのだろう。
ある日俺はついにぶちギレてしまった。
それも高校一年の春という、皆が新しい生活に心躍り浮かれている時期に、だ。
あろう事か俺は名前をからかって来た相手に手を出してしまった。
相手は泣きながら謝っていたらしいが覚えていない。
それ程俺は冷静さを欠いていたのだろう。
その後、教師達により職員室へと連行されこっぴどく叱られたあげく、異例の入学式初日に停学処分という俺の高校生活の青春に終止符を打たれた瞬間でもあった。
そんな経緯を経た事もあり俺は今、この学校では不良のレッテルを貼られている。
最初の頃は何とかして弁解を、などと甘い考えを持っていたりしたが今ではもう諦めた。
そんなこんなであれから一年が経ち、光崎 宇宙は晴れて高校二年生になったというわけだ。
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