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まぁ、一つ学年が上がったからと言って何かが変わるという事もなく時間だけが無常にも過ぎていく。
しかしこんな生活に嫌気がさす半面、心地よかったりもする。
だからこそ、なおさら質が悪いのだろう。
そしてすでに残りの高校生活に見限りを付けてしまっている俺からすれば今日が始業式だというのにも関わらず、屋上にて昼寝をしているのは必然とも言える。
まぁ、学校の行事は基本フケるのが俺のスタイルだ。
だからと言って、勉学を厳かにする訳ではない。
大体テストではいつも上位から五本の指には入っているので、教師共もあまり深くは介入して来ない。
だからこそこうやってのんびりと屋上で惰眠を貪っていても怒られやしないし、言いかえれば誰も俺になんか興味を示さないのだ。
「寂しくなんかねぇ……」
気付けばそんな言葉が勝手に口から零れ落ちていた。
それに気付き一人苦笑いする。
どんなに強がっていたって、やっぱり心は寂しいと感じているんだろうな……。
それもそうだ。
幼い頃に両親を亡くし、親戚の叔母さんの家に預けられて15年。
叔母さんは俺を本当の息子のようにして可愛がってくれたけど、やっぱり俺と叔母さんはどこまで行っても元々は他人。親の代での繋がりはあるのだろうが、直接的な血の繋がりはない。
だから今日もそうだった。
毎朝学校に行く間際の口喧嘩。
叔母さんに対して心にもない言葉を連発してしまい、学校に来てから後悔するという繰り返し。
そんな自分に自己嫌悪しながらも、あれは叔母さんも悪かったと自分を正当化してしまう。
そんな事をすれば、いつかは叔母さんからも見捨てられてしまうというのに……。
そうなってしまえば俺は本当に一人ぼっちになってしまうのだろう。
俺のチキンハートはきっとその現実には耐えられない。
「そうなりゃ、もうこの世に未練は無いな……」
そう呟いた時、屋上の扉が重々しい音を立てて開いた。
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