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重々しい金属音を立てながら開く扉の影から姿を現したのは……老婆?
頭髪は真っ白で遠目から見ても黒い部分などどこにも見当たらず、本当に真っ白。純白。
腰のあたりまで伸びているそれは太陽からの眩い光線を受けてより一層純白に……というよりは、むしろ銀色に近い色を放ちながら輝いていた。
何故か黒い日傘をさしているため顔を見る事は出来ないが、老婆と言うにはやけに背筋がピンッと立っていて本当に老婆なのかどうか疑ってしまうほど。
それに何より、ここの高校の制服を着ている。
さすがにコスプレ好きの姿勢がとても良い老婆という線はありえそうにもないので、どうやら俺と同じくこの学校の生徒の一人なのだろう。
むしろコスプレ大好きババァだったら、その……あれだろう。色々と洒落にならない。
にしても、彼女がここの生徒だという事は少なくともこの学校の校則に縛られる身だと言うこと。
そして、その校則において彼女の白銀の頭髪は規則に引っ掛かっている。
おそらく髪を染めたんだろうが……まったくとんでもない不良だな。
それにまだ始業式の終わっていないこんな時間に一人屋上に来るなど少なからず彼女も善良な生徒の一人ではない事は確かだろう。
まぁ、自分も決して人の事は言えないんだが……。
「ま、どうでも良いや」
彼女が何の目的で屋上に来たのかが少し気になりはしたが、俺には関係ない。
どうせ、俺と同じで始業式なんて行事がつまらなくなって途中で抜け出して来たのだろう。
俺は大方の予想を付けて自分を納得させ、再び貴重な睡眠タイムに入る事にした。
どうせ起きていたって、たいした出来事なんて起こりはしないのだから……。
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