あめあがりのくまのこ

2/8
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
ぽつり、ぽつりと音がする夢をきいて、目が覚めました。 目をあけると、いつもよりちょっと薄暗い朝で、 でもまだ夜が明けきらないといったわけでもなく、 やっぱり充分に日がのぼっているいつもの朝なのでした。 くまのこは外をみて、ぬれた地面をみて、 ちょっと寂しく思いちょっと落ち着いたきもちになりました。 くまのこは、ひとりぼっちになったばかりなのです。 こないだまで、優しいおかあさんがいました。 いつも一緒で、なにも心配なんかしたことがなかったのです。 ただ、時々聞きなれない音を聞くと、 おかあさんは怖い顔になって、遠くへ、遠くへ足早に移動することを 教えてくれたのでした。 だからでかける時は、いつも音を良く聞いて、 おかあさんのそばから離れないようにしていたのです。 おかあさんといれば、何の心配もなかったのです。 くまのこは雨に黙って濡れる地面を見て、 草花をみて、朝の空気を吸っていました。 落ち着く音に包まれていても、 どうしようもない悲しい気持ちは消えないのです。 朝が来て、夜がきても、 どうしても消えないのでした。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!