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ぽつり、ぽつりと音がする夢をきいて、目が覚めました。
目をあけると、いつもよりちょっと薄暗い朝で、
でもまだ夜が明けきらないといったわけでもなく、
やっぱり充分に日がのぼっているいつもの朝なのでした。
くまのこは外をみて、ぬれた地面をみて、
ちょっと寂しく思いちょっと落ち着いたきもちになりました。
くまのこは、ひとりぼっちになったばかりなのです。
こないだまで、優しいおかあさんがいました。
いつも一緒で、なにも心配なんかしたことがなかったのです。
ただ、時々聞きなれない音を聞くと、
おかあさんは怖い顔になって、遠くへ、遠くへ足早に移動することを
教えてくれたのでした。
だからでかける時は、いつも音を良く聞いて、
おかあさんのそばから離れないようにしていたのです。
おかあさんといれば、何の心配もなかったのです。
くまのこは雨に黙って濡れる地面を見て、
草花をみて、朝の空気を吸っていました。
落ち着く音に包まれていても、
どうしようもない悲しい気持ちは消えないのです。
朝が来て、夜がきても、
どうしても消えないのでした。
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