――黒室の中?

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目を覚ますと、私は黒い部屋の中に居た。 照明があり暗くはないが、 この部屋の中は主に黒に統一されており 視覚に暗いイメージを与える。 そしてこの部屋は私の部屋ではない。 私は自室のベッドで眠りに ついていた筈だが……。 ならば此処は何処なのだろう? 私はそう思い、恐る恐る立ち上がる。 部屋の中を見渡してみるが 特徴は先程も思ったように 主な物が真っ黒であること。 つまりは 照明、扉、木製であろう ――引き出しのある――小さな机、 そしてその上の模様が入った花瓶。 それらが黒で構成されていること。 ――花瓶だけは金色を模様の アクセントにしているようだが。 見渡した時、机の上 ――の黒と金の花瓶―― が気になり私は机へと近寄った。 覗きこむが中には水が入って……。 いや――水の中にも何かある。 花瓶の中身を机の上にぶちまけると 机は水に塗られ、更にその水の中に 黒い袋のようなものが沈んでいた。 私はそれに手を伸ばし、 私の細い指をその袋に絡ませ掴みとる。 そして私は迷うことなく袋を開けた。 中には黒い紙と小指程の小さな鍵。 私は黒い紙を開いてみた。 +____________+ |黒室―3A    花瓶 | |黒曜の間―1   ノート| |黒夢の部屋―5C 白  | |石魔の間―6   魔石 | + ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄+ ……何かのメモのようだが。 黒室の花瓶と言うのは 此処の目の前にあるこの花瓶だろうか。 だとしたらこれは地図 のようなものなのだろう。 そう考えるとこの場所は 割と広いのだろうか? 幾つものことに考えを走らせながら私は 目の前にある机の引き出しを開いた。 「……!」 一瞬驚いたがそこには覗き込む 私の顔と着ている黒を 基調にしたTシャツが映っていた。 「鏡……か」 引き出しにはめられた鏡。 その隣にはH-Be-B-Oと 書いた小さな白い紙。 私はその紙をポケットにしまい、 改めて黒い扉へと 視線を向けるのだった。
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