3人が本棚に入れています
本棚に追加
何があったのか自分でも
把握できなかった。
磁石が引き合うように、引き寄せられ
扉は閉まった。
館の主の罠であろうか?
それ以前に体を移動させた
仕組みが分からない。
何かに触れられた感触すらないのだから。
驚きの中、周りの状況を確認する。
今閉じられた扉の正面の壁には
扉が二つ、左に白い扉と右に黒い扉。
左右の壁の前には
それぞれ小さな机があり
その上には紙が乗っているようだった。
試しに左側の机に近づき、
その紙を読んでみた。
*____________*
|白の扉の奥、待つは生き死|
|誘惑は毒であり罠、耐えよ|
|墜ちた先は生きながらの死|
|生きたければ耐えぬくのだ|
* ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄*
どうやら扉の説明のようだ。
ということは反対側の壁の紙は
黒い扉の説明なのだろう。
そう思った私はその考えに従い
反対側の壁に近づいていく。
*____________*
|黒の扉の奥、待つは魔の死|
|悪魔は幻であり真、考えよ|
|惑いの先は狂乱による滅死|
|生きたければ見極めるのだ|
* ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄*
私の考えは正しかったようだ。
しかしこの紙の内容は難解である。
何を意味するのか。
白い扉の奥は何かしらの
誘惑があるのであろう。
黒い扉は……何だろうか?
考えるに幻覚やその類の
蜃気楼や幻視のような幻による
精神攻撃なのだろう。
(あくまでも推測の域を出ないのだが)
さてどちらに進もうか。
閉まった扉には鍵がかかっており
蹴飛ばしても開かない。
つまり二つのどちらかに進むしかない。
恐らく扉を開けると先程のように
引き込まれるであろうから。
私は幽霊やその類は
信じているわけではない。
しかし信じていない訳では
ないのである。
もし黒い扉が精神に訴えるものならば
それに耐えることができるか分からない。
しかし白い扉の誘惑。
これが出口の誘惑や
それを誘うようなものなら
私は耐えることができないだろう。
そう考えれば私が進むのは
黒い扉である。
私は黒い扉のドアノブを捻った。
最初のコメントを投稿しよう!