――黒室の中?

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何があったのか自分でも 把握できなかった。 磁石が引き合うように、引き寄せられ 扉は閉まった。 館の主の罠であろうか? それ以前に体を移動させた 仕組みが分からない。 何かに触れられた感触すらないのだから。 驚きの中、周りの状況を確認する。 今閉じられた扉の正面の壁には 扉が二つ、左に白い扉と右に黒い扉。 左右の壁の前には それぞれ小さな机があり その上には紙が乗っているようだった。 試しに左側の机に近づき、 その紙を読んでみた。 *____________* |白の扉の奥、待つは生き死| |誘惑は毒であり罠、耐えよ| |墜ちた先は生きながらの死| |生きたければ耐えぬくのだ| * ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄* どうやら扉の説明のようだ。 ということは反対側の壁の紙は 黒い扉の説明なのだろう。 そう思った私はその考えに従い 反対側の壁に近づいていく。 *____________* |黒の扉の奥、待つは魔の死| |悪魔は幻であり真、考えよ| |惑いの先は狂乱による滅死| |生きたければ見極めるのだ| * ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄* 私の考えは正しかったようだ。 しかしこの紙の内容は難解である。 何を意味するのか。 白い扉の奥は何かしらの 誘惑があるのであろう。 黒い扉は……何だろうか? 考えるに幻覚やその類の 蜃気楼や幻視のような幻による 精神攻撃なのだろう。 (あくまでも推測の域を出ないのだが) さてどちらに進もうか。 閉まった扉には鍵がかかっており 蹴飛ばしても開かない。 つまり二つのどちらかに進むしかない。 恐らく扉を開けると先程のように 引き込まれるであろうから。 私は幽霊やその類は 信じているわけではない。 しかし信じていない訳では ないのである。 もし黒い扉が精神に訴えるものならば それに耐えることができるか分からない。 しかし白い扉の誘惑。 これが出口の誘惑や それを誘うようなものなら 私は耐えることができないだろう。 そう考えれば私が進むのは 黒い扉である。 私は黒い扉のドアノブを捻った。
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