1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
目を覚ますといつも目の前に広がるのは闇夜に浮かぶ月でもなく、飛び立つカラスでもなく、慣れしたしんだ白い天井。
もう何度目になるだろう、この夢を見たのは。
あの日以来自分の夢に現れ続けた幼き日の家族。
事件直後は毎日のようにうなされたが、最近では見なくなっていた・・・はずだった。
(・・・どこに置いたっけ・・・。)
俺はぐるっと自分の部屋を見渡す
開け放たれたクローゼット。
しみの付いたコタツ机。
開いた形跡のない教科書に埋もれた勉強机。
そして・・・
(あぁ・・・そこか。)
捜し物は、愛用のパソコンの上に鎮座していた。
鎮座していたのは、
NIKEの帽子
俺は起き上がると、いつも通り寝汗で濡れ切ったシャツを脱ぐ。
・・・鳥の鳴き声が聞こえる。
俺は見慣れた窓をゆっくり押し開く。
流れ込む気持ちいい風。
(・・・顔を洗おう。)
散らかった部屋を出て洗面所に向かう。
最初のコメントを投稿しよう!