出会い

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セレントの西に位置する森の中にドラゴンが住んでいた 数匹の小さな群れで暮らしていた そんなある日の夜だった 西の街、セレントから煙が上がり 風にのって、肉の焦げた嫌な臭いがしてくるではないか 一匹のメスのドラゴンが様子を見にセレントの街に向かった すると、街は壊滅していた このことを仲間に知らせようと ドラゴンは翼を広げ、森に飛び去ろうとした すると、人の声が聞こえた その声は今にも消えそうに弱々しい ドラゴンが声の聞こえてきた方に行くと そこには、人間がいた だが、その人間はまだ幼い少年だった 少年は、地面に沢山倒れている死体の中にしゃがみ込み 「パパ・・・ママ・・・?」 と必死に呼んでいた ドラゴンが少年に近づくと、 少年はようやくドラゴンに気づいた そして、ドラゴンをじっと見つめた 普通の人間ならばドラゴンの姿を見れば、戦おうとするか逃げるはずだ ドラゴンが顔を近づけてみても、少年は全く逃げる気配が無い それどころかじっと見つめてくる 変わった人間だとドラゴンは思った 「パパ・・ママは・・どこ?」 さっきから少年はずっと同じ言葉を繰り返している きっとこの中では、生きているわけがない ドラゴンは少年をとても可哀想に思った ドラゴンは少年に言った 「お前のパパとママは もう居ないよ」 「居・・な・い・・?」 「お前のパパとママは死んだんだ」 「死・・んだ・・」 少年は驚くわけでもなく、ぼーとしている まるで感情が無いよう ドラゴンは本当に可哀想に思った ドラゴンは少年を森に連れて帰ることにした なぜなら、ドラゴンが森に帰ろうとすると着いてこようとするのだ 少年を背に乗せ、ドラゴンは森に帰った
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