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朝は太陽の眩しさよりも村の喧騒で目が覚めた。気になったリリは最低限の身だしなみだけを整えると家の外に出て井戸端会議をしているおばさんの近くに寄って行った。
「ああ、おはようリリちゃん。ところでもうレンの話を聞いたかしら?」
「ううん、レンクンがどうかしたの?」
首をかしげるリリを見たおばさんが話す相手を見つけたためか嬉しそうに手をひらひらさせればもったいつけるようにあのね、から概要を伝え始める。
「あのカニハンターったら砂漠の地底湖にね、毒ビンをぶちまけたらしいのよ」
「……え?」
そういえば昨日すれ違った時に『イチコロ』とか言っていたが、まさかこれだったのだろうか?
「それでね、今ギルドの方で緊急クエストとして砂漠の調査っていうのがあるんだけど、みんな気味悪がっていかないのよ。リリちゃんだってイヤよね」
ぱんぱんと背中を叩かれる。そうですね、と苦笑いをしていたリリだったが、普段のクエストがクエストだけに実入りのいいのは出来ればこなしておきたい。
「じゃああたし、これからギルドの方に行ってきますね。もしかしたら……もっと聞けるかも知れないから」
掴んで放してくれないおばさんに頭を下げれば、一度装備を整えるために家に戻る。今度は『砂漠』がメインのため、比較的涼しそうな『ハンター』装備でまとめる。これならば自動マーキングが発動されるため大型のモンスターに襲われる危険が減る。そして最後にハンターボウと矢筒を背負い、部屋から外に出かけた。
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