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「あ、あなたが何を言ってるのか意味が分かりませんっ。あたし、ここには調査で来ただけなんです」
装備の上から染み込んでくる水が気持ち悪い。恐怖と怖気で体を震わせながら何とか言葉を紡ぐ。
「はあ? 何いってやがる。弓を背負ったハンターがぶつくさ言いながら垂れ流すのを見てたんだぜオレ」
……『弓を背負った』『独り言を言う』『ハンター』が『ビン』を『水場』に『散布』する。つまりは…そういうコトなのだろう。
「んんっ、それはあたしじゃなくて別のハンターのことじゃ…」
「だから見てたって言ってんだろうがっ。あんまりゴチャゴチャ言ってるとこの場で殺すぞテメエ」
リリの必死の弁明もその男には届かない。むしろいたずらに苛立たせただけだった。しかし、
(……それって、今のあたしがあの青カニハンターとおんなじに見えたってコト?)
もう逃げられない諦観からか、リリのどこか冷静な部分が首を傾げた。それに『姿』とはどういうことなのだろう。
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