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「作ってもらいたい物…?サタンが??」
ベルフェゴールは首を傾げ
「いいけど…何作ればいいの?」
と、いつの間にかその右手に
鈍く光る スパナを握りながら聞いた。
その時のベルフェゴールからは
既に眠気は完全に消え失せ、
代わりに職人特有のやる気に満ちた目をしている。
サタンはそれを見ると口端を三日月のように吊り上げ、
「人間界へのワープ装置だ。」
とても楽しそうに言った。
一方のベルフェゴールはそれを聞き…
「は?」
と。目を丸くしていた。
「お前ならば容易い事だろう?
魔界一の【天才エンジニア】のお前ならな。」
「…むぅ。
僕をエンジニアなんかと一緒にしないでよね。
僕がそう呼ばれるの嫌いなのは
サタンも充分、知ってるでしょ?」
ベルフェゴールは頬を膨らませ、
サタンを射抜くように睨んだ。
「フ、ハハハハハハ!
それでこそ【魔の発明者】よ!
…それで…?
出来るのか? 出来ないのか?」
サタンが微笑しながら言うと
ベルフェゴールの目に光が灯り
「―勿論…出来るよ。
その代わり安全の保証はしないけどね。」
サタンと同じように微笑して、言った。
「充分だ。寧ろ、
それぐらいならばスリルとなろう。」
「まぁ。完成したら呼ぶから。
それまでは自分の城に帰ってればぁ?」
「うむ。では、そうさせていただこう。」
サタンは再び翼を出し、
自身の城(家)へと帰っていった。
「さてと。
せっかくの魔王様からの依頼だ。
最低でも明日には完成させないとね~」
ベルフェゴールは大きく伸びをしながら そう呟くと、
自身の家の更に奥にある…
研究室へと引きこもった。
中からは一晩中
何かを削る音や。
何かを溶かす音。
または、叩く音が響いていた。
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