第一章~Who am I?~

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……。 ん、いつの間にか眠っていたようだ。 風のざわめきと、ほんのちょっとの雑音に、目が覚めた。 身体に染み付いていた倦怠感は失せた。 これも単に若さ故、なのだろう。 若い身体とは、青く、新鮮だ。 満ち足りて、全てが上手くいくような錯覚を感じる。 そして、その幻覚に溺れ、苦しむものだ。 ……なんだろうな。 自分は、こんな事を考える人間だったろうか。 どうも、いろいろと可笑しいようだ。 ところで、さっきから聞こえる雑音は、何か呼び声のように感じるのだ。 鼓膜が伝えた訳ではない。 こう、直感的に響くのだ。 疲労も爽快した身体を起こし、その声に応えるようにゆっくり歩き出す。
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