錆びれゆく街

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「助けて、マティエ!」 「お前が悪いんだから、仕方ないだろう」 マティエは扉の縁に寄り掛かって、タイラーの泣きそうな顔を興味なさそうに見ていた。 「いい所に来た。マティエ、こいつの準備を手伝ってくれ」 「そんな所だろうと思っていた。俺は、服をまとめるよ」 フィルとマティエは手分けをしてタイラーの部屋を片付け、旅の準備を整えた。タイラーはフィルに指示されるまま、ゴミを出したり食料を取りに行った。 全てが片付く頃には、集合時間が迫っていた。 「やべー、時間がない!急ぐぞ、てめえら!!」 「わかった!」 三人は各々の武器を担ぎ、荷物を引っ付かんで走り出した。 かなり急いだお陰で、三人はギリギリ集合時間に間に合った。フィルもマティエも息を切らしていたが、タイラーは重いバトルアックスを担いでいるせいで、相当息を切らしていた。 「ギリギリだぞ!」 隊商の長が怒った顔で言った。周りを見回せば、他の傭兵ギルドの強者達が既に集まっている。人数は、フィル達を合わせて十五人だ。 「すんません。ちょっと、色々あって」 時間までには来ているんだからと、言いそうになるのを我慢して、フィルは営業用の笑顔を浮かべた。 「まあ、いい。知ってる通り、お前達には香辛料をソラリアまで運んでもらう。日程は、往復で三週間の予定だ」 ソラリアはライドリンの北西部にある大きな街だ。ライドリンの十五代目の王、リエルが王位に就いてからからは、景気が悪くなってはいたが、それでも、ライドリン一美しいと呼ばれた街並みは保たれていた。
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