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開店時間になったため俺は一階の一室に向かった。
「店長?どこですか?」
ごちゃごちゃと骨董品が置かれた部屋は一般家庭の部屋より大きいはずだが、骨董品のせいで狭く見える。
俺は骨董品を壊さないように奥へ進む。
「店長」
奥の椅子に座った佐穂を見つけそばにいく。
「いつものようにほこりをとって『過視(かし)』お願いね」
佐穂は俺を見もせず、店長命令をしてきた。いつものことだが少しは人を見てからにしてほしい。
「わかってますよ。『過視』するのはどれですか?」
「あれとこれ」
佐穂は自分の後ろにある繊細な彫刻が彫られた花瓶と机の上に置いてある色の濃い壺を指す。
俺は花瓶と壺を持って壺が置いてあった棚の後ろに移動する。
棚の後ろはきれいに骨董品が整頓されて板と棚で小部屋のように隔離されている。中央に水が溜まったガラスの受け皿が置かれ、小さな丸テーブルがちょこんとあった。椅子はなく、座布団だけ受け皿の前に置かれている。
「さて、はじめるか!」
座布団に座って丸テーブルに花瓶と壺を置く。
受け皿にポケットから出した蝶と百合が描かれた手鏡を浮かべる。
これで準備満タンだ。
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