∫第1話∫

7/16
前へ
/20ページ
次へ
『過視』というのは『過去』を見るということだ。 骨董品に宿らせた『過去』を視る。 俺だけができる超能力みたいなもので、何も骨董品に宿らせなくても人の手、人が触った物であれば大抵視える。 小さい頃は手当たり次第に物を触っていたから人の『過去』が視えていた。それで苦労したことが日常茶飯事になっていた。 花瓶を手にとって手鏡に結んだ赤い細い糸を花瓶の口に垂らす。 すると糸が仄かに光り、水に波紋が生まれるの同時に手鏡の鏡が霧がかかったようにぼやける。 「よし」 俺は一声を発し、花瓶に手を触れる。 霧がかかったようだった手鏡の鏡に何かが映り始めた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加