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それから一時間くらいかして偉そうな先ほどの男と同じ格好をした男が入ってきた。
「『過去』を消したいのだが」
「消す…ですか」
佐穂がお手洗いに行ってしまったため俺が対応している。
が、どうもさっきの男とは違い、上から目線でしゃべる。
いきなり言われたので一瞬固まった。
「聞いているのかね?」
怒ったように言われ、慌てて返事をしようとしたのだが。
「聞いてます。申し訳ありません。新人のもので」
佐穂とは別の少女の声が俺の台詞を遮った。
この少女は佐穂の使い魔のハルルだ。人の形をしているか、本性は管狐という狐の妖怪だ。
ハルルが視線を送っているのに気づいて頭を下げた。
「店長が不在なためこちらでお待ちいただけますか?」
「いないのか。仕方ない」
男を店として使っている部屋から連れ出し、応接間に案内した。
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