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「ここでお待ち下さい」
俺は、ティーカップにブラックコーヒーとミルクの入った容器とスティック砂糖を突っ込んだカップを置いて佐穂を呼びに部屋を出ようとした。
「待ちたまえ」
男に呼び止められ、立ち止まる。
「なんでしょう?」
本音は一刻も早くここを立ち去りたかったが、そうもいかない。できるだけ笑顔らしい笑顔を浮かべる。
「君じゃできないのか?時間もあまりないだが」
そんな怒った風に言われても俺には『過去』を見ることができるだけでそれをどうこうできる力は持ってない。できるのは佐穂だけだ。
「はい。お…私はそういうことはできないです。店長にも止められてますから」
「そうか。だったら早く店長を呼んで来たまえ」
男はそれだけいうとさっさとコーヒーに口をつけた。
「はい。お待ち下さい」
俺は怒りを抑えて営業スマエルでお辞儀をして部屋を出る。
先ほどの部屋に戻る最中心の内で怒りを爆発させていた。
なんなんだ、あの男は!文句もいうだけいって…!
「なにをそんなに怒ってるの?一騎」
怒りを爆発させていた俺の耳に佐穂の声がとどいた。
「店長…あそこの部屋で」
「わかってるわ。ハルルから聞いたから。一騎」
「なんですか?」
「……あなたが怒ることじゃないわ」
佐穂はそれだけ言うと俺の返事を待たずに行ってしまった。
あれはたぶん……
「心配してくれたんだよな」
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