13978人が本棚に入れています
本棚に追加
/1492ページ
そして任務申請が終了し、武器及び車の確保も完了。
救出任務へと赴く時がやって来た。
守は病室をこっそり抜け出し、自室へ。
着替え及び拳銃・ナイフの装備だ。
ズキズキと痛む傷を堪えてジャケットを羽織り、部屋を出る。
四肢や頭に巻いた包帯はそのままだ。
エレベーターに乗り、1階ロビーへ。そこには華里奈と舞の姿があった。
「体の調子はどうだ?」
と、華里奈。
「バッチリだよ。もうどうってことねぇや」
ダメージの大きさを悟られないように守は言った。言ったつもりだった。
「嘘言わないの。あんたの体がどんな状態かは私の方が分かってるんだからね」
姉に全否定されてしまったが。
「う……」
「守。姉として言うけど絶対無茶しちゃダメだよ。今回はしっかり皆に守ってもらうようにしてね」
「そうだぞ守。お前を連れて行くのは金井 美奈を効率よく救出して逃がすためだ。学校の構造を記憶し状況に応じた脱出ルートを即座に構築できるのはお前だけ。でなければ気絶させてでも病室で寝かせてる」
「……はい」
本来なら丸一日寝込んだ患者を戦場に出すなど有り得ない。守の地の利があること、及び守の意思を尊重しての特例だ。無論、戦闘許可のないミイネ含めて始末書ものとなるだろうが。
華里奈は守の隣に立つと、思い切り詰め寄った。
「いいか?念入りに言うぞ。今回のお前の役目は戦闘員ではなくガイドだ。私達の護・衛・対・象・だ。絶ッッッ対に私の側から離れるなよ分かったな?」
「だああ!!分かった!!了解しました!!」
「ならばよし」
半強制的に守を納得させたところで無駄話は終了だ。
「行くぞ、守。救出任務の準備は整ってる。後は外の車で出発するだけだ」
ロビーの外……月明かりに照らされるホテル前を見る。
そこには乗用車が3台。今回の任務に参加するメンバーが乗っているのだろう。
「ああ……行こう」
頭部に巻かれている包帯を掴む守。
「金井を解放する」
それを引き剥がし……守は車へと、戦地へと赴いた。
最初のコメントを投稿しよう!