復讐の矛先

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  そして任務申請が終了し、武器及び車の確保も完了。 救出任務へと赴く時がやって来た。 守は病室をこっそり抜け出し、自室へ。 着替え及び拳銃・ナイフの装備だ。 ズキズキと痛む傷を堪えてジャケットを羽織り、部屋を出る。 四肢や頭に巻いた包帯はそのままだ。 エレベーターに乗り、1階ロビーへ。そこには華里奈と舞の姿があった。 「体の調子はどうだ?」 と、華里奈。 「バッチリだよ。もうどうってことねぇや」 ダメージの大きさを悟られないように守は言った。言ったつもりだった。 「嘘言わないの。あんたの体がどんな状態かは私の方が分かってるんだからね」 姉に全否定されてしまったが。 「う……」 「守。姉として言うけど絶対無茶しちゃダメだよ。今回はしっかり皆に守ってもらうようにしてね」 「そうだぞ守。お前を連れて行くのは金井 美奈を効率よく救出して逃がすためだ。学校の構造を記憶し状況に応じた脱出ルートを即座に構築できるのはお前だけ。でなければ気絶させてでも病室で寝かせてる」 「……はい」 本来なら丸一日寝込んだ患者を戦場に出すなど有り得ない。守の地の利があること、及び守の意思を尊重しての特例だ。無論、戦闘許可のないミイネ含めて始末書ものとなるだろうが。 華里奈は守の隣に立つと、思い切り詰め寄った。 「いいか?念入りに言うぞ。今回のお前の役目は戦闘員ではなくガイドだ。私達の護・衛・対・象・だ。絶ッッッ対に私の側から離れるなよ分かったな?」 「だああ!!分かった!!了解しました!!」 「ならばよし」 半強制的に守を納得させたところで無駄話は終了だ。 「行くぞ、守。救出任務の準備は整ってる。後は外の車で出発するだけだ」 ロビーの外……月明かりに照らされるホテル前を見る。 そこには乗用車が3台。今回の任務に参加するメンバーが乗っているのだろう。 「ああ……行こう」 頭部に巻かれている包帯を掴む守。 「金井を解放する」 それを引き剥がし……守は車へと、戦地へと赴いた。
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