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「…………なんだと?」
「以前、この場所でお前と殺し合った。あの時ほどの冷たさを、お前の刀から感じない」
対話。
澄久の胸中を理解するための。
「語らせてやる」
床を力強く踏み込む華里奈。
「お前の、真意を!!」
兄へ
斬り掛かる。
語り掛ける。
ファミリー中枢にて。
「やめて……」
ティアナのか細い声をかき消す銃声。
エルフレッドが放つ銃弾が守の胴体を穿たんと続々と迫り来る。
「君は本当にイレギュラーな存在だ。流石、この場に2度も姿を見せるだけのことはある」
モニターも機材もお構いなしだ。火花が部屋全体から咲き乱れる。
「経費が勿体ねぇんじゃなかったのかよ……!」
弾道の先読みから回避しつつ右手の拳銃を構え直す守。
狙うは足元。
威嚇射撃を、放つ。
「エル!!話を聞きな!!」
グレンダは必死に叫ぶ。
エルフレッドを救いたい。その気持ちはティアナにだって負けはしない。
「誰の話を聞けって?」
その時だった。エルフレッドは高々と跳躍してグレンダの目の前へ着地。
守が「逃げろグレンダ!!」と叫ぶも虚しく、鳩尾を強烈な蹴りで凹まされた。
「がはァッ……!」
「俺に何も言わず、裏でこそこそマモル=シイラギと取り引きしていた君が、俺に話を聞けと言ったのか?」
……気づかれていた。
水面下で動いていることに。
「君だけじゃない。ルジャンもクレイもジョンソンも……幹部の中で唯一不信感を抱いていなかったラビアでさえこのザマさ。君らのボスは誰だい?」
左手の拳銃を、痛みに耐えかねて前のめりになったグレンダの頭部に向けるエルフレッド。
「お待ちください!」
そこへ……ラビアは銃口の前へ割って入る。
「彼女らはボスの把握していない、ボスの命を脅かしかねない重大な事実を握っていました。水面下で動いていたのは敵に察知されぬようにするためで……!」
「俺を救うため?……そんなことを考える人間がマフィエクと繋がりを持つものか」
「彼らは違います!他の戦闘員共とは価値観が……」
「はい、君は今口をつるりしちゃったね。マモル=シイラギ以外にも組んでいる者がいると。……そもそも、このファミリーはマフィエクへ復讐を志す者で構成されている。それが理念。絶対に揺らぐことのない理念なんだ」
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