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移動の車を確保したミイネとレインス。
ミイネは自室にて愛用の拳銃に新たなマガジンを込め、ホルスターへ収納した。
次にナイフを数本懐へ忍ばせ、部屋を出る。
すると
「よお」
準備を待っていてくれたらしい。そこにはレインスの姿が。
「あ、レインスだぁー。どぉしたのぉ?」
「いやお前を待ってやってたんじゃん。どうしたのはねぇだろ」
「ふえ?」
大丈夫かこいつは。
「一応聞くがミイネ。頭大丈夫か?」
「むぅっ!ミイネは確かに変な子って言われるけどぉ、そんな率直に馬鹿な子扱いしないでよぉ!」
「……あのな、俺が言いたいのは日本本部でやられた頭の怪我の具合はどうなんだ?ってことなんだが」
「あー。うん、大丈夫だよぉー。あっきぃで遊んでたら治っちったぁ」
「お前本当に休んでたんだろうな。……まあ心配するだけ無駄か。もし治りきってなかったとしても、お前じゃ言っても聞かねーだろうしな」
レインスは柄にもなく、額に冷汗を浮かばせていた。
理由はすぐそこにある。
「お前今、内心完全にブチキレてんだろ」
ミイネがその心に、冷ややかな憎悪の炎を焚いているからだ。
ミイネは一瞬顔を硬直させたかと思うと、満面の笑顔を作り直しながらレインスに向き直った。
「えへへー。バレちったぁ?」
「…………」
笑顔の絶えないミイネのこのような作り笑顔を見るのはいつ以来だろうか。
殺意に魅入られた鬼の子を、間近で目にするのは。
「レインスは知ってるよねぇ?ミイネの家族は皆マフィアに殺されちゃったんだぁ。……まりりんと一緒だよぉ。ミイネはぁ、一般人を平気で巻き込む奴らを許せない。ましてやそれがまりりんのお友達なんて」
マフィアの手違いで葬られた家族を思い出す。
唯一の家族となった姉の死を伝えられたあの地獄のような瞬間を思い出す。
やはりまだ……記憶に深い根を張っているようだ。
「……勘違いすんなよミイネ。マモルは少し違うぞ」
と、レインス。
そう……守は少しだけ違う。
「マモルは自分の怒りより仲間友達の命を優先する。……いつものお前だってそうだろうが。冷静になれ」
「む……」
いつものミイネは仲間想い。仲間のためなら自分の命を省みず全力を発揮できる人物だ。
それが憎しみに毒される姿を、見たくはなかった。
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