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「わっ私寝相は悪くないはずなんですけど!」
反論する小夜に苦しくも応戦する。
「んなの分かるわけねぇだろ!寝てんだから!」
「そんなこと言ったっていつも布団乱れてませんもん!」
「起きる寸前に寝ぼけながら直してんだ!」
「……その説はちょっと無理があるかと」
……自分でも思った。
優勢に立った小夜はここぞとばかりに捲し立てる。
「江戸にいたころだってつねさまはそんなこと言われませんでしたし、勇さまも沖田さんも斎藤さんも皆さん平気そうでした!」
小夜は三日に一度は土方ではなく幹部の誰かと寝るようになっている。
惚れた女が昔馴染みとはいえ別の男と一夜を過ごすのは耐え難いもので、せっかく今日は一緒にいるのに嫌な気分になった。
そんな土方の男心に気づくはずもなく、小夜は続ける。
「何だったら橘が証人になってくれるはずです!よく相部屋になってましたからね!」
それは、彼にとって聞き流せる話ではなかった。
「……おい、そりゃどういうことだ」
「へ?そのままの意味ですけど。……何でそんなに怒ってるんですか」
眉間にしわが三本入った。
「お前は下僕と寝るのかよ」
「げぼ……何で永倉さんも土方さんも橘をそんな酷い呼び方にするんですか!」
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