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小夜に近寄る男なんて誰であろうと敵だ。
橘に至っては一度遠目から見ただけであったが中々の顔立ちだった。小夜から聞いた話では15歳。
年の割に少し小さいが相手にとって不足はない。彼は小夜至上主義だ。
「俺らがいない時に野郎どもを牽制してくれてる分感謝はするが、近すぎなんだよ」
ボソッと愚痴ると小夜は首を傾げた。
「そんな密着してませんよ?ていうか、それ答えになってないんですけど」
土方からしたらそれが答えだ。
よく分からない。そう目で訴える小夜にまだ気持ちを伝えるつもりはない(今伝えても色んな意味で報われないから)ので適当にはぐらかしておく。
「お前、起きてもまだ外は暗いだろ。いつも何やってんだ?」
「え」
いきなりの話題に小夜は一瞬だけ言い淀む。
「……精神統一、とか」
「お前は剣士か」
やっぱり普通じゃない。そしてなぜに精神統一。
「やることはねぇのかよ」
「この暗さですしね…。朝餉の献立は前日の買い出しでもう考えてますし」
「書物でも読んでりゃいいだろ」
「そう思ったこともあったんですが、本屋にある本って基本的に知識として頭に入ってるものばっかりで…。新しい医学書とか欲しいですよね」
しかも医学書。
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