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しかしいくら深い眠りについていた小夜でもそんなことをされていたら意識が浮上する訳で。
「ん~…?」
やっぱり起きた。
「……何で土方さん、こっちにいるんですか…?」
トロンと微睡んだ表情と掠れた声に土方の心臓が大きく収縮する。
「あ、いや…」
言えない。眠れなくて手持ちぶさたになっている側ですうすう気持ち良さそうに寝ているのが気にくわなかったなんて。
「……ま、いいです……も少し、寝ます…から……」
言うなり小夜は瞼を閉じてしまった。次の瞬間には規則的な寝息が聞こえ始める。極限まで眠かったらしい。
まさかそこで二度寝されるなんて。この胸の高鳴りをどうしてくれる。
土方はガシガシ頭を掻いた。
「ったく、無防備にも…」
不自然に言葉を切った彼は目を見開いて固まった。
背に回された細くて弱いもの。寝間着越しに伝わる温かさと柔らかさ。鼻腔をくすぐる甘い匂い。
「……ほどがあるだろ…」
小夜が抱きついてきていた。
ドクンッ。抑えていた欲望が、膨れ上がる。
「俺は抱き枕じゃねぇっての…」
あぁ、ダメだ。ダメだ、ダメ、なのに…。
ゆっくりと身を起こせばするりと華奢な腕が解ける。残念な気持ちもそっちのけでイケナイ気分が目の前を支配する。
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