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「おはよう、絶兄ちゃん」
「うん、おはよう、姫ちゃん」
神田姫音。僕の最愛の妹の一人にして、先程のちっちゃいほうの妹であり、神田家の三女、実質上の末っ子(双子を1セットで末っ子と数えるのかも知れないけど)である。お気に入りのピンク色のパジャマに身を包んだ彼女は、どうしても年齢より幼く見えてしまう。……しかし、なぜだろう。少し僕が罪悪感を感じているのは。
「今日の朝ご飯はパンなんだっ。パン好きー」
と、パン派な姫ちゃん。
「飲み物はオレンジジュース? 牛乳?」
「牛乳ー」
「はーい」と僕は冷蔵庫から牛乳を出しながら、思う。
―――ここがサイズの違いか、と。
「お。おはよう、姫」
僕はいつまでこの話題を引っ張る気なんだろうと考えていると、銀ちゃんが洗面所から戻ってきた。髪型は普段通りのオールバック。心なし、安心する僕がいた。
「おはよう、銀兄ちゃん。……あれ? 白ちゃんは?」
白ちゃんとは、銀ちゃんの愛猫の名である。なんという種かは飼い主の銀ちゃんもよくわからないらしい(というか興味がないらしい)。普段はつねに銀ちゃんの左肩が定位置なのだが、そういえば、今朝は見当たらなかったなぁ。
「あぁ、まだ寝てらっしゃる」
………なんで猫に謙譲語を使うんだろう。なんて、思っても口には出さなかった。
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