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そんなこんなで時刻はすでに7時を10分ほど回るぐらいになっていた。うちの寝坊助たちは未だに起きてくる気配を見せない。――――仕方ない、か。そう思い僕が立ち上がると同時、姫ちゃんが立ち上がる。
「お姉ちゃんたち起こしに行くんでしょ?」
「うん、時間だしね。優ちゃんのほう頼める?」
「うんっ」と、返事は元気よく。優ちゃんこと神田優姫。双子の姉である彼女を起こすのは基本的に双子の妹である姫ちゃんの役割である。そして、さっきのやり取りも毎度のことだ。
まぁ、僕らがそんなやり取りをしている間、銀ちゃんはせっせと愛猫の白ちゃんがいつ起きてもいいように朝ごはんの準備をしているのも毎度のこと。――どうしてあそこまで献身的に世話をするのだろうか。不思議とうちの弟がヒモを彼氏にした女性の様に見えてくるのが悲しい。
なんて。毎朝思いながらも僕はある部屋の前に立つ。
神田黒矢。我がちっちゃい方の弟の部屋である。現在高校3年生。受験という名の戦争を戦う年齢な彼はいくつになれば一人で起きるんだろうか。
そんなことを思いながら僕はドアノブに手をかける。
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