プロローグ

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ぴりりりりっ ぴりりりりっ 無駄に広い僕の部屋に電話の音が響く。 風呂上がり早々に止めて欲しいせっかく仕事で固まった体が柔らかくなったのに。 上着の内ポケットからもう触りたくない四角い物体を取り出す。 ぴりりりりっ ぴりりりりっ 相変わらず騒ぎたてるシルバーグレーの携帯。 仕事を考えると頭が痛い。携帯の重量が増した気がする ふとディスプレイを見ると 『シノ』 予想外な人物からの電話 いつぶりだろう? ぴりりりっぴっ 「……もしもし?」 「おう、久しぶり!元気か?」 全く変わらない相手の声と調子にほっとする。 「うん、元気……かな?」 「…嘘つけ、声変だぞ………俺さ約束守ったぞ?だからこうやって電話した。お前はどうだ?」 …約束、……あぁ 思い出した あの約束。 皆で交わしたあの約束。 僕はまだ出来てない 「…僕……は……」 「……………」 静けさが痛かった。 僕は約束を果たすどころか今の現状に身も心も擦り切れている 少し限界を越えている。
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