【本編】

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―――――――――――― To:アツシ ―――――――――――― sub:アツシ? ―――――――――――― 助けて… 苦しくて死んじゃいそうだよ。 もう何もかも嫌だ。 会社も辞めてココからも消えちゃいたい… あたし…もう疲れちゃった。 アツシのとこに行きたいよ。 蘭子 ―――――――――――― 文章を作成し、送信したあとに、あたしは無意識に携帯電話を胸に押しあてていた。 窓の奥に広がるコンビナート、その窓に映る自分は気づかないうちに涙を流している。 それは、本来の自分を隠して、感情を押し殺して、プライド高く完璧に演じてきた「あたし」の化けの皮がはがれた瞬間だった。 ゆりかもめが終点に着き、JR新橋駅に乗換えをしようとしたときだった。 携帯電話がアツシからのメールを知らせる。 ―――――――――――― From:アツシ ―――――――――――― sub:どうしたん? ―――――――――――― 蘭子、大丈夫か? 何があったんかわからへんけどオレは蘭子の味方やから。なんでも言いや。 自分の中に溜め込むのはアカンで。 ほんまに疲れたら大阪おいで。 ―――――――――――― メールを読んだ瞬間、心に、鋭くも気持ちの良い刺激が走った。 そうか。 そうだったんだ。 あたしが欲しかったのは、このメールだったんだ。 なぜ今までわからなかったんだろう。 アツシのところに行けば、あたしが1番欲しかった“絶対の安堵感”が手に入る気がしてならない。 さっきまで土砂降りの雨が降っていたはずのあたしの心は、急に一変し、弾む指先でアツシに返信をした。
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