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To:アツシ
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sub:ファイト!
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あたしも仕事辞めたいよ。。
同じく辞められないけど(笑)
あ~学生時代に戻りたいよ~(泣)
こっちは雨は降ってないけど、
今にも降りそうな感じかな!?
風邪、気をつけまぁす!!
お気遣いありがと(*^-^*)
蘭子
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アツシには仕事を辞めたいこととか、簡単に言えるんだけどな~
そんな風に思いながら、あたしは送信ボタンを押した。
それは、現実的に関係を築く周囲の人間たちには、決して言えない本音だった。
本当にアツシには不思議なくらい何でも話せる。
弱ってる自分も、ふがいない自分も、情けない自分も、全部全部…
大学生の頃から、社会人になった今日まで、すべてのあたしを見せている気がした。
アツシには、恋の相談もたくさんしたし、アツシからの相談もたくさん受けた。
異性といえども「メル友」の友情は確実に存在するんだと、あたしは胸をはって言いたいくらいだ。
だって、今の彼氏のことも、ずいぶん相談にのってもらっているんだから…
『あ!明日デートじゃん!!』
降って沸いたように思い出したあたしは、カバンからプライベート用のスケジュール帳を取り出して確認をした。
手帳にはピンク色の文字で「マサル・12時・ゆりかもめ」と書かれている。
『やっぱり!思い出してよかった~!明日の服、考えなきゃ!』
それからあたしは、明日のデートの準備をした。
マサルとのデートは2週間振りなので、自然と気合いが入る自分を感じる。
『明日、楽しみだな…』
窓の隙間から見える小さな黒い空が、少しだけ明るく見えた。
そして、そっとベットにもぐり込んだあたしは、一人暮らしの冷たい東京の部屋で、ひとり眠りにつく。
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