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人口の海を眺めることができるカフェテラスに、あたしとマサルは向かい合って座る。
とりあえず昼食を食べようということになったのだ。
あたしはキッシュのランチセットを、マサルはクラブハウスサンドを頼んだ。
『ねぇ、マサルなんかあった?』
「別に…なんで?」
今日のマサルはあまり目を合わせてくれないような気がしたからだ。
『それなら、いいんだけど…』
本当のことを聞けたらどんなに楽なのだろうと、いつもあたしは思う。
マサルを目の前にすると、可愛い自分を演じようと本来の自分を隠してしまう。
もうこれは昔からなので、どうしようもないんだけど…
それにしても今日のマサルはおかしい。
妙に落ち着きがなく、タバコの火だってうまくつかない。
そんなマサルをぼーっと見ていると、カフェの店員が注文したメニューを持って現れた。
あたしたちはそれぞれのメニューを受け取り、店員が去るのを確認してから食べようとした。
マサルが自分のクラブハウスサンドを手に取り、大口を開けて食べようとしたそのときだった。
あたしはマサルの指に目を奪われ、一瞬息ができなくなる。
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