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「成功させなければ、ならないじゃないか」
つり目の男が口を開く。
「それとも、失敗すると思っているのか?」
「まさか! そんな事は全く……」
思っていない、とは言えずに、裂矢は口ごもる。
少なからず思っていたからこその呟きである。
否定は、できない。
しかし、その無言を否定として受け取ったのであろう男は、そのまま話し続ける。
「なら、いいじゃないか。……この計画は必ず成功するさ」
「でも、万が一ということもあるじゃないですか」
男の目が険しくなる。
「そこまで俺は信用ならないかい? それとも、俺たちの研究や装置にそこまで自信がないのかい?」
「そ、そういうことでは……」
男のことを信用していないわけではないし、自信だってあるが……その鋭い視線に射抜かれては、思わずどもってしまう。
「……ふ、冗談だよ」
男の目尻が緩む。
「まあ、お前が心配になるのも分からなくはないさ。だが、それでもこの計画は成功する」
「…………」
なぜ、
なぜそんなに自信に満ち溢れているのだろうか。
言い返したくもあったが、そこまではっきりと言われては裂矢に返す言葉は無い。
二人は再び沈黙し、ただ、ガラスの向こうを見つめていた。
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