†プロローグ†

4/7
前へ
/21ページ
次へ
   沈黙が漂う部屋のなかに、機械を通した研究員の報告が響いた。 『エナジー充填、上限の120%に到達しました。 放射角度のセッティングも完了。 いつでも放射可能です』 「……よし、決行だ」  目の前に設置されたコントロールパネルのマイクに向かって、ストークスは短い言葉を放つ。  その言葉に誘発されるようにして、研究員が更に慌ただしく動きだす。  それを確認してから、裂矢とストークスもパネルを操作し始めた。  無言。  無声。  再び訪れた、沈黙。  裂矢とストークスが立つ管制室には、最初から流れる機械の駆動音以外には何も響かない。  二人の手の動きがなければ、世界が止まったような錯覚も覚えるだろう。  その沈黙を破ったのは、 『放射開始、五分前』  機械に入力されたアナウンスの音。 『三分前』 「…………もうすぐだ……もうすぐ、俺達の研究は成功する……!」 「……ストークス、あなたは」  ストークスの言葉に、裂矢が何かを言おうとしたときだった。  施設全体に、強い衝撃がはしった。  
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加