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いつも通り、昨日作った味噌汁とおかずを温め直し、その間にレンジで解凍したご飯を茶碗に盛る。
今日は午前は講習、午後はバイトの予定が詰まっており、やたらと忙しい。
さっさと朝飯の用意を済ませ…
「あ、ご飯出来てるよー」
…てあった。
「…は?」
テーブルには、湯気の立つご飯と味噌汁と煮物に、綺麗に盛られた漬物。
そして、その先に…
「…何でいるんだよ」
「えっと、恩は返そうと思って」
リリィがいた。
「…戻ってくるなと言った筈だが。そもそもどうやって入った」
「これ使って」
そう言って取り出されたのは、先端が曲がっている針金。
…こいつ、どこでそんなの覚えた?
「お前なぁ…勝手に人ん家入って飯の支度って…どんな恩返しだよ」
「あはは…やっぱマズかった? ご飯だけに」
「ボケるなバカ」
全く、非常識な話だ。
…が。こんな状況でも生理的欲求はおかまいなしに活動していて。
腹部から幾度となく聞いたことのある音が鳴り響いた。
「…弥君?」
「…朝飯、頂く」
とりあえず、食欲を満たすか。
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