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「…という事なんだよ」
「……………」
要約すると、次の事柄が分かった。
自分はこことは別の世界『魔界』から、一人前の魔物と認めてもらう試験の為に来たという事。
過去に3回試験を受けたが、全て失敗した事。
これは前代未聞の記録で、魔物としては恥ずべきものだという事。
「…で、今回がラストチャンスで、課題達成するまで帰ってくるなと」
「うん…」
蛇体の先端を首と同じように俯かせ、リリィが頷く。
…正直、俺には全く関係ない話だ。
「ま、頑張れ。じゃ、さようなら」
「待って待って!」
リリィが服の裾にしがみつく。
…まだ何かあるのか。
「五月蝿い。俺は忙しいんだ」
「その、試験の内容なんだけど、人間の捕食なんだ」
…捕食?
「取っ捕まえて食うって事か」
「うん。だから、食べても大丈夫な人を探してるんだけど…」
…そういえば昨日、悪い事をした奴がいないかとか、そんな事を聞いてたな。
「食う奴に条件ってあるのか?」
「15歳以上なら、特には…」
「へー…」
人間の捕食、か。
…ん、ちょっと待てよ。
この部屋、確か3人、失踪者が出てるんだったよな…
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