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「…この部屋の住人じゃなくても、その気になれば誰でも食えそうな気がするんだが」
「あー、そうかも」
なるほど納得。といった感じで顎に手をあて、感心するリリィ。
が、少し間を置いて、話し始めた。
「でも、誰でもっていうのは嫌かな。何もしてない人の命を奪う権利なんて、誰にも無いと思う」
そんな考えだから3回も落ちたんだけどね、と自嘲気味に言いながら、リリィは笑う。
この笑顔を見ていたら、俺の中に何かよく分からない感情が湧いてきた。
今まで感じた事の無い感覚。
そもそも、感情なんて物は、とうの昔に殆ど失ったはずだが…
そう思っていたら、ふと、ある考えが浮かんだ。
本当に突然に、そしてあっけなく。
「じゃ、俺食えよ」
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