再会

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「…ごちそうさま。美味かった」 「本当? ありがとー!」 ごく普通の塩粥だった。 塩は薄くも濃くもなく、適量。 これといった特徴は無いが、何故か妙に美味く感じた。 「…で、そろそろ出ていって貰えるか」 「うん…ただ、さ」 そう言って俯くリリィ。 …こいつ、まだ何か要求があるのか? どれだけ図々しいんだ。 そう思っていた所、次にリリィが話したことは、俺にとって意外な事だった。 「何で…何で弥君はあんなに簡単に命を捨てようとしたの?」 「…?」 何故そんな事を聞く。 よくよく考えてみれば、今俺はこいつに食べられていてもおかしくない。 試験をクリアする気があるなら、さっさと俺を食えば良かった。 考えを巡らしていると、 突然リリィが怒鳴りだした。 「だっておかしいよ! 他の魔物に食べられそうになった人は、必死に命乞いして、どうにか助かろうとしてた! それなのに弥君は簡単に死のうとした! どうして? どうしてなの!?」 …喧しい。 「落ち着け。そもそもお前には関係な…」 「何でそんなに冷静でいられるの!? ボクに食べられちゃうかもしれないんだよ!?」 「だから、食いたいんなら食えば…」 「弥君は何も悪い事してない! そんな人を食べる訳にはいかないよ!」 …黙れ。 「お前、自分がどういう状況か…」 「試験なんてどうでもいいよ! 弥君は何でそんなに死にたがるの!? 誰だって、死にたくなんか…」 「五月蝿ぇんだよ!!!」 俺の怒鳴り声が、部屋に響いた。
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