学校

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「この物質は主に塗料等に使われており…」 退屈な講義を適当に聞いたり聞き流したりしつつ、板書をとる。 しばらくそれを繰り返せば、それで講義は終了。 次の講義の準備に取りかかろうとした時だった。 「おいーっす!」 騒々しい声を無視する。 「わーったるちゃーん? ぼちぼち無視するのやめませーん?」 肩をバンバン叩く手を適当に払いのける。 「弥ー! 聞こえまゴフッ!」 耳元で叫ばれたので、何も言わずにグーで顔面を殴る。 「いてて…完璧な流れだったな!」 「茶番以外の何物でもない」 殴られた鼻をさすりながら親指を立てて笑うこの男は、俺が知る限りでこの世で最もウザい人間である。 「何言ってんだよ! この竜平様が、殴られても笑っていられる奴なんて、そんなにいないんだぜ?」 「知るか」 神楽坂竜平(かぐらざかりゅうへい)。 何かにつけて、俺に関わってくるバカだ。
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