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メイド喫茶への入店。それだけでも既に面倒だというのに、選りにも選ってこの店は、リリィのバイト先。
…面倒事の倍々ゲームの予感。
何とか、ここ以外の所に行かなければ…
「俺は入らんぞ」
「だが断…」
「却下。何が悲しくてこんなアホな所に入らなきゃならないんだよ」
「世界のあらゆる物は二種類に分かれる…面白いか、そうでないかだ」
「どう見たって後者だろここ」
「いや、感じる。ここに面白いものが絶対ある!」
(…ある意味大正解だよこの野郎)
話し合いは平行線。
どうしたものか…
と、その時。
「あれ、弥君?」
俺の名を呼ぶ声。
振り向くと同時に、絶望した。
そこにいた少女は、
フリルがやたらとついている白いカチューシャとエプロンをつけ、その下に黒いワンピースを着ている。
そして何より、今日の昼に見たばかりの可愛らしい顔をしていた。
こうして最悪の形で、話し合いをする必要が無くなった。
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