170人が本棚に入れています
本棚に追加
人間…少なくとも俺には、あまりに突飛すぎる情報を処理する事は難しいのであって。
俺の思考は、ピタリと止まった。
気になる点は二つ。
この娘はどう見ても普通の人間にしか見えないこと。
そして、この娘は何故、突然こんな世迷言を吐いたのか、という事だ。
俺は固まった脳を再起動し、努めて冷静に彼女に問った。
「…見たところ普通の人間にしか見えないけど、証拠は?」
頭から否定しても仕方ない。
こんな戯言を宣うのには、何か理由があるはずだ。
…が、彼女は至って自然に、かつ分かりやすく、それを示してくれた。
彼女の背後。
ゆっくり、下から現れた、緋色の鱗に覆われた、太い何か。
俺には、それを蛇以外の物として見ることはできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!