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海に行った帰り道。
薄暗くなってきた頃村へと向かって車を走らせていた。
「楽しかったな」
「えぇ、また来ましょうね」
前の席で両親がそう話しているのを、恭は後部座席でぼーっとしながら聞いていた。
また、か。いいかもしれない。
口に出すことは無いが、そう思った。
そんな時、突如凄まじいブレーキの音が響く。
「危ない!」
母親の必死な声が耳に入ったその直後、車体に大きな衝撃。
驚いて見た先には、大きなトラック。
避けきれず、恭達が乗った車はトラックと衝突したのだ。
車体がぶつかり合う音と、激しい揺れと、座席や窓にぶつかる体の痛み。
その一瞬、恭の視界は白く染まった。
どれくらいの時間が経ったのか。
数秒、あるいは数分かもしれない。
恭はゆっくりと目を開けた。
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