もしも将軍家があったら…

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「上様のおなーりー」 将軍、慶治は頭を下げた女中達の間を、後ろにいる御台所の早苗と、二人の側近達、そしてその後ろには大奥をまとめる御年寄と共に通っていく。 大奥では男子禁制の場、御台所は一生外に出れないというような厳しい法度があると思っているようだが、21世紀の大奥は違う。 将軍の子供や、将軍の側近とあらば、大奥に入る事が許され、御台所も特別な公式なパーティーなどには出席する事ができる。 しかし、男子の側近が奥に入る時は一時間以内しかいることができない。 別の大きな部屋に移動した一同は朝の総触れを始めた。 将軍は三段ほどの低い階段を上り、用意された椅子に座った。 「上様におかれましてはご機嫌麗しく存じ上げます」 将軍の前に立つ御年寄の瀧島がそう言うと同時に、後ろにつく女中たちは頭を下げた。 「今日は、成斗様の妻となる方を決める会議がございますので、上様にも参加して頂きたいと思うております」 「それで候補は誰なんだ?」 「はい、それが…」 なぜかキョロキョロとするいつもではありえない御年寄の瀧島。 「誰なのです?」 そんな瀧島に慶治の隣に立つ御台所の早苗が迫った。 「はい、そのお方は…」
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